2025年10月13日に放送された連続テレビ小説『どんど晴れ』の第1回「わたし女将(おかみ)になります」。
現代の若い女性が“おもてなし”の心と向き合いながら成長していく物語が、ついに始まりました。
今回は、主人公・朝倉夏美(比嘉愛未)が見せた家族への思い、そして恋人の加賀美柾樹(内田朝陽)の家族との出会いを通して浮かび上がる“二つの家族の対比”を中心に、第1回を振り返ります。
優しさと信頼が息づく朝倉家の絆
物語の始まりは、横浜の小さなケーキ店。
パティシエ修業中の朝倉夏美(比嘉愛未)は、父・啓吾(大杉漣)の店でケーキ作りに励んでいます。
夏美が作っていた誕生日ケーキを、偶然訪れた子供に譲る場面が印象的でした。
「お母さんの誕生日なんだ」と話す少年に、自分の父のためのケーキを差し出す夏美。
その優しさに、彼女の人柄と、職人としての“心”がにじんでいました。
家に戻ると、弟の智也(神木隆之介)は「なんだよ、これ、うちのケーキの売れ残りじゃないか」と呆れた様子を見せますが、父・啓吾(大杉漣)は「まあ、いいじゃないか」と静かに受け止めます。
母・房子(森昌子)も「その男の子が喜んでくれたんならよかったじゃない」と微笑み、家族全員が夏美を包み込むように支えています。
このシーンには、“叱る”より“見守る”という愛情の形が詰まっていました。
家族の中で育まれる夢と信頼
啓吾が「そろそろ一人で新作を作ってみないか」と夏美に促す場面も胸に残ります。
一人前のパティシエにはまだ遠くても、
娘の努力を見つめながら背中を押す父の姿は、厳しさの中に深い信頼が感じられました。
そして、この日は啓吾の50歳の誕生日。
家族そろってケーキを囲む笑顔のシーンは、温かい家庭の象徴でした。
「本当に良い人が見つかってよかった」という母・房子の言葉には、
娘が大切な人を見つけたことへの安心と、これから送り出す親の心情が重なります。
恋人・柾樹(内田朝陽)との未来への約束
夏美の婚約者・加賀美柾樹(内田朝陽)は、横浜のホテルで働く真面目な青年。
この回では、仕事が長引き夏美の家族の誕生会に行けないというシーンが描かれました。
電話越しに「おやじさんによろしく」と話す柾樹の誠実さに、
“都会的な青年”という印象の中にも人柄の良さが感じられます。
一方で、夏美の弟・智也が「旅館を継がなくていいのか」と口にする場面も。
ここで初めて、視聴者は柾樹の家が旅館であることを知ります。
この何気ない会話が、後の大きな展開――“加賀美屋”への訪問につながるのです。
盛岡で出会うもうひとつの「家族」
翌日、夏美と柾樹は盛岡へ向かいます。
岩手山を眺めながら、柾樹は「盛岡の人はみんな、あの山を見て大きくなる」と語ります。
この一言には、彼が生まれ育った土地への誇りと、
横浜で暮らしていても変わらない“根”のようなものが感じられました。
そしてついに到着したのは、盛岡一の老舗旅館・加賀美屋。
夏美はその壮麗な佇まいに驚きを隠せません。
「お帰りなさいませ、柾樹坊ちゃん」と迎える仲居たちの姿に、
彼が“坊ちゃん”と呼ばれるような家の生まれだと初めて知る夏美。
庶民的な温かさの朝倉家とは対照的に、伝統と格式を重んじる加賀美家の雰囲気が一気に広がります。
大広間に集まった親戚一同の前で、夏美が「大女将のおばあちゃん」と呼びかけてしまう場面は、
緊張の中にも“彼女らしさ”が溢れていましたが、視聴者は思わず固まってしまったことでしょう。
二つの家族、二つの価値観が交差する物語の始まり
第1回のラストでは、ナレーションで「これが、大女将・カツノ(草笛光子)、女将・環(宮本信子)との初めての出会いでした」と語られます。
温かく自由な朝倉家と、伝統に厳しい加賀美家。
まったく異なる二つの家庭が出会い、夏美の新しい人生が静かに動き始めました。
この対比こそが、『どんど晴れ』の最大の魅力のひとつになるのかもしれません。
第1回ではまだ“嫁ぐ前”の段階ですが、
これから夏美がどのように“おもてなし”の心と向き合い、
どんな形で“女将”を目指していくのか、期待が高まります。
まとめ “わたし、女将になります”への第一歩
「誰かを笑顔にしたい」という気持ちでケーキを作っていた夏美。
その優しさが、今度は旅館という“人と人をもてなす場所”でどう花開いていくのか。
家族の愛に育まれた彼女が、新しい家族の中で成長していく姿――。
第1回は、まさに“旅立ち”の物語でした。
次回、加賀美家の厳しい現実を知る夏美がどう立ち向かうのか、
「どんど晴れ」というタイトルのように、明るく晴れやかな展開を期待したいと思います。
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