2025年10月8日放送 第153回
ざっくりあらすじ
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諏訪ノ平に戻るチョッちゃん。泰輔(前田吟)は東京に残り、小屋の建設と迎え入れの準備を進めることに。チョッちゃん(古村比呂)は富子(佐藤オリエ)に東京行きを勧め、みさ(由紀さおり)たちは青森で留守を守る。
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富子、東京へ。富子は「一人で帰るなんて」と不安を漏らすが、みさと加津子(藤重麻奈美)が優しく送り出す。汽車の中で涙を流す富子の姿には、安堵と不安が入り混じっていた。
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東京での再会。千駄木では、泰輔が立派な小屋を建てていた。そこへ富子が到着。連平(春風亭小朝)との再会を果たし、涙ながらに抱き合う。笑顔で迎える連平の姿に、戦後を生き抜いた人々の強さを感じる。
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たま(もたいまさこ)登場。連平を探してやって来た従軍看護婦・たま。「あなたの言葉を支えに生き抜いてきました」と語る彼女に、場は一気に感動と笑いに包まれる。富子やチョッちゃんは「責任取らなきゃね!」と冷やかし、連平とたまの縁を後押しする。
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新しい門出。音吉(片岡鶴太郎)がチョッちゃんの家の建築を手伝うことに。9月には泰輔からの手紙で、「洗足に小屋が完成した」と知らされ、チョッちゃんたちはついに“東京へ戻る日”を迎えようとしていた。
今日のグッと来たセリフ&場面
# | セリフ/場面 | ワンポイント |
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1 | 富子「私だけ先に帰るの?」 | 嬉しさと責任感が交錯する富子の一言。家族愛の深さを感じる。 |
2 | 富子「義姉さん、チョッちゃん、ありがとうございました」 | 旅立ちの挨拶。戦火を生き抜いた姉妹のような絆が胸を打つ。 |
3 | 泰輔「リンゴ小屋よりはましだろ?」 | 苦労を笑いに変える泰輔らしい一言。人間のたくましさがにじむ。 |
4 | たま「あなたの言葉を支えに生き抜いてきました!」 | 戦地から帰還したたまの告白。言葉の重みが命を繋いだ瞬間。 |
5 | チョッちゃん「するわよ、させるわよ」 | たまと連平の未来を背中で押すチョッちゃんの明るさが光る。 |
6 | ナレーション「要さんの消息は、いまだに分かっていません」 | 喜びの裏に差し込む静かな痛み。希望と喪失の対比が鮮やか。 |
私が感じたポイント
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富子の巣立ちが象徴する「家族の再出発」。これまでチョッちゃんたちを支え続けてきた富子が、ついに東京へ向かう。「私だけ先に帰るの?」と申し訳なさそうにこぼす一方で、みさや加津子が優しく送り出す姿に、家族の絆の深さがにじんでいた。富子が東京に戻ることで、チョッちゃん一家は本当の意味で“自立”の段階へと進む。戦後の再生を描く中で、家族の形もまた新しく生まれ変わっていくのを感じた。
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たまの登場がもたらす「生き抜く力」とユーモア。戦地から帰還したたまが、連平を探して現れるシーンは衝撃的だった。「あなたの言葉を支えに生き抜いてきました」というたまの言葉には、戦争が奪ったものだけでなく、“人の言葉が命をつなぐ”という希望が込められていた。その重さを受け止めながらも、泰輔・富子・チョッちゃんが軽妙に冷やかすことで、涙と笑いが共存する「チョッちゃん」らしいあたたかい空気が生まれていた。悲しみを笑いで包み込むこの作品の持ち味が、今日の放送でいっそう際立っていた。
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“帰る場所”を取り戻すための準備。洗足に家を建てようと奔走する泰輔や音吉の姿は、戦後日本の象徴のようだった。焼け跡の土地に新しい暮らしを築くこと、それは“再生”そのもの。材木を集め、小屋を建て、家族を迎える――その過程こそが希望だと思った。この作品が描いてきた「生きる力」の核心が、いま再びチョッちゃんたちの手で形になろうとしている。
まとめ
第153回は、“帰還と再出発”が交錯する回だった。
富子が青森を離れ、チョッちゃんたちが青森に残り、家族がそれぞれの場所で“次の一歩”を踏み出す。その一方で、要だけがまだ戻らないという現実が、物語全体に深い陰影を落とす。
たまと連平の再会、音吉の協力、洗足の小屋の完成——再建への希望が確かに見える一方で、心のどこかにぽっかりと残る“空白”。それは戦争が奪ったものの象徴でもあり、同時に、待つことをやめないチョッちゃんの強さの証でもあった。
そして次回——
東京の空の下で、再びチョッちゃん一家が“家族としての暮らし”を取り戻す日が近づいている。
だが、要がまだ帰ってこない限り、本当の終戦は訪れない。
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