朝ドラ再放送「チョッちゃん」第150回感想 “許可なき食堂、女たちの闘い”

朝ドラ

2025年10月4日放送 第150回


ざっくりあらすじ

  • 食堂、営業停止命令。 昭和21年5月、食糧難のなかでも賑わっていたチョッちゃん(古村比呂)の食堂に、役人がやってきて「営業許可がないなら即刻停止」と命じる。突然の命令にショックを受ける一同。

  • 行商の女性たちの支え。 よね(根岸明美)をはじめとする行商仲間たちが「おらたちの飯炊きは続けてくれ」と頼み、チョッちゃんの仕事を守る。

  • 警官とのやり取り。 警官が“営業再開”だと勘違いして押しかけるが、よねたちが痛快に反論して撃退。女たちの団結が見事。

  • 祝言での歌。 斉藤(左奈田恒夫)の頼みで祝言に呼ばれたチョッちゃんは「花嫁人形」を歌うが、要を思い出して途中で涙に詰まる。

  • お見合い話。 組合長・三上(金井大)が、夫が戦死したかもしれないと決めつけ、チョッちゃんに見合い話を持ちかける。激昂する泰輔(前田吟)と富子(佐藤オリエ)。

  • 新たな決意。 「要が帰ってこないはずがない」と信じ続けるチョッちゃん。翌日、行商のよねに「私も行商やりたい」と相談する。


今日のグッと来たセリフ&場面

# セリフ/場面 ワンポイント
1 よね「昼飯炊いてもらうのに、許可証がいるんだべかなす?」 よね姐さん、警官を論破!痛快すぎる。
2 富子「ぶん殴るなら、私も手伝うよ」 強く、迷いのない一言。頼もしすぎる叔母。
3 みさ「泰ちゃん!暴力はうまくないっしょ!」 おっとりみさ、まさかの理性担当。冷静さが光る名場面。
4 チョッちゃん「私には、岩崎要って夫がいるんだもの!」 10か月経ってもなお、夫を信じる妻の誇り。
5 よねたちが食堂で笑い合う場面 生きる力とユーモアで困難をはね返す、女たちの輝き。
6 「とどまるところを知らないチョッちゃんであります。」 ナレーションの言葉が彼女の人生そのものを象徴していた。

私が感じたポイント

  • 女性たちの強さと団結。よねが警官を言い負かす場面はスカッとしたし、富子・みさ・チョッちゃん、それぞれが違う形で家族を守っていた。特に富子の「ぶん殴るなら私も手伝うよ」は最高。泰輔を止めるのかと思いきや、勢いと正義感の塊。でもその場で冷静にブレーキをかけたのが、いつもおっとりしてるみさだったのも良かった。食堂の戦力としては頼りなかったみさが、家族の危機には誰よりも冷静で、絶対に必要な存在だと改めて感じた。

  • 三上組合長、今作唯一の“悪役”かも。組合長の「もう帰ってこないんじゃないか」発言は、戦後社会の現実を映しつつも、視聴者を本気でムッとさせる。ここまでほとんどの登場人物が“善人”として描かれてきただけに、異様な存在感だった。

  • 食堂シーンのコントラスト。前半の営業停止シーンでは社会の理不尽さ、後半の飯炊き再開では人の温かさ。これぞ『チョッちゃん』らしい落差の美学。どんな理不尽にも、笑いと人情で立ち向かう。

  • チョッちゃんの決意。三上組合長からの見合い話で「変だ」と言われても、「私は要の妻」と毅然と宣言するチョッちゃん。その涙には、夫への信頼と誇り、そして一人の女性としての矜持が宿っていた。

  • 行商への転機。 食堂を失っても立ち止まらない。今度は行商として再出発するチョッちゃんの姿に、どんな時代でも生き抜く女性のたくましさを見た。

当時の営業許可制度と代書人の存在(時代背景メモ)

昭和21年(1946年)当時、日本ではまだ現在の食品衛生法(1947年制定)が施行されておらず、飲食店の営業は各地の「料理屋営業取締規則」や「飲食物営業取締規則」など、県令・警察令によって管理されていたようだ。

営業許可は警察署長の許可制
で、衛生や風紀の取締りも警察の管轄だった。

そのため、劇中で警官が役人と共に営業停止を命じたのは、実際の時代背景を忠実に反映した描写といえる。なんで食堂の営業許可の話なのに警官が来るんだと思ったが納得した。

また、この時代にはまだ行政書士制度が存在せず(制度創設は1951年・昭和26年)、人々は自ら許可申請書を書いて提出していた。

ただし、書類の作成に不慣れな人も多く、役所の近くには「代書人(だいしょにん)」と呼ばれる人々がいて、願書や届出書を代筆することで生計を立てていた。

この「代書人」こそが、のちに制度化され、現在の行政書士
につながっていく。

食品衛生法以前の許可申請は簡単な書類だったようなので、読み書きもでき、高学歴のチョッちゃんには難しいことではなさそうだし、何より、喫茶泉を経営していた泰輔が、なぜ営業許可を忘れていたのか・・・。失意のどん底と戦後の混乱で忘れていたのだと思い込もう。実際に戦後の混乱期には無許可の闇営業も多かったみたいだし、食堂で成功しちゃうとチョッちゃんが行商する必要もなくなっちゃうしね。


まとめ

第150回は、女性たちのたくましさと連帯が描かれた回だった。理不尽な権力や制度の前で涙を流すだけでなく、ユーモアと知恵で切り抜ける姿は痛快そのもの。そして、要の帰りを信じるチョッちゃんの「強く、まっすぐな愛」が再び胸を打つ。三上組合長への怒りも、最後には“生き抜く力”の燃料に変えていく。

――昭和の女たち、かっこいい!

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