朝ドラ再放送「チョッちゃん」第149回感想 “ユーモレスクが運んできた希望の調べ”

朝ドラ

2025年10月3日放送 第149回


ざっくりあらすじ

  • 東京行きを決意するチョッちゃん。 要の消息を確かめたいと焦るチョッちゃんに対し、泰輔(前田吟)が「自分が代わりに行く」と説得。泰輔が単身で東京へ向かう。

  • 待つ家族。 食堂の仕事はいつも通り続くが、泰輔の帰りが遅く、富子(佐藤オリエ)は不安を募らせる。子供たちもそれぞれに祖母を思いやる姿を見せる。

  • 東京の現実。 戻った泰輔は、洗足の家も千駄木の家もなく、中山家も戻っていないと報告。要の痕跡も見つからなかった。チョッちゃんは落胆しつつも「ここで待つ」と気持ちを固める。

  • 復員兵・小林との出会い。 食堂に居座っていた復員兵・小林(でんでん)が鼻歌で口ずさんだのは「ユーモレスク」。要が出征前夜に弾いていた曲だった。

  • 希望の兆し。 小林は戦地でその曲を聞いたと語り、チョッちゃんは「それは要に違いない」と確信。要が生きていると信じる希望が家族を包んだ。


今日のグッと来たセリフ&場面

# セリフ/場面 ワンポイント
1 泰輔「東京、俺、行こう!」 力強く一人で背負おうとする姿に頼もしさを感じた。
2 富子「チョッちゃんだって、要さんのことになったら心配するくせに!」 それぞれの夫を思う気持ちが対照的に描かれた瞬間。
3 雑炊を必死に食べる泰輔の姿 空腹と疲労に滲む現実感が胸を打った。
4 小林「じゃあ、奥さん。あれは旦那だよ。きっと、そうだよ」 赤の他人からのこの言葉が、何よりの救いになった。
5 チョッちゃん「要さんに、違いないわよね?」 希望にすがるような問いかけが切なくも力強い。
6 ナレーション「そして、要さんは絶対に生きているとも、チョッちゃんは思いました」 視聴者も一緒に信じたくなる、胸熱の締め。

私が感じたポイント

  • 泰輔の成長と存在感。 過去の災難を引きずる男だった泰輔が、今回は「自分が行く」と力強く決断。チョッちゃんを説得する姿は、まさに一家の柱のように見えた。前田吟版の説得力ある泰輔だから成立した場面であり、川谷拓三版だったらどうなっていたか――そんな“別の世界線”を想像してしまう面白さがあった。川谷拓三泰輔だったら、きっとチョッちゃんも一緒に行ったんじゃないかと想像してしまう・・・

  • 北海道弁「ゆるくない」。 泰輔がこの言葉を使ったのは、記憶が正しければ初めてな気がする(どこかで言ってたらごめんなさい)。台本通りなのかアドリブなのか気になって仕方がない。演技の中に自然に溶け込んでいたのも印象的だった。

  • 孤独のグルメ感のある泰輔。 「腹…減った…」と帰宅早々雑炊をかき込む姿は、井之頭五郎さながらで思わず笑ってしまった。緊張感の続く物語の中で、こうした人間味ある描写が光っていた。

  • 加津子の優しさ。 自分のリンゴを食べる前に「はい、おばあちゃん」とみさに渡すシーンが心に残った。家族思いの小さな仕草が、戦後の不安な日常を優しく彩っている。

  • 「ユーモレスク」が繋ぐ奇跡。 要が出征前夜に弾いた曲が、復員兵の鼻歌を通してチョッちゃんに届く。音楽が時と場所を超えて人と人を結ぶ、このドラマならではの象徴的な瞬間だった。ユーモレスクがこの作品におけるキーアイテムになっている。

  • 戦争のリアルな影。 小林の語る「妻が他の男と行ってしまった」という事実は胸をえぐる。それでも現実には、戦地から戻った兵士を待たずに別の道を選んだ家族もいたのだろう。描写はさりげないが、戦争が残した深い傷を誠実に伝えていたと思う。

  • 食い逃げの心配からの温情。 最初は「お金を払わないのでは」と不安がる家族だったが、要の消息につながるかもしれない言葉をくれた小林に対して「お代はいらない」と見送った。この小さな優しさが、チョッちゃんたちの人情を際立たせていた。

  • 希望を選ぶ力。 証拠はなくても「絶対に生きている」と信じること。それこそがチョッちゃんの強さであり、この家族を前に進ませる原動力になっている。


用語メモ:ユーモレスクとは?

  • 正式名称:ドヴォルザーク作曲《ユーモレスク 第7番》変ト長調 作品101-7

  • 作曲時期:1894年(19世紀末)

  • 作曲者:アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904/チェコの作曲家)

  • 特徴

    • 全8曲から成る「ユーモレスク集」の1曲で、もっとも有名。

    • 軽やかで親しみやすい旋律が特徴。ピアノ曲として作られたが、ヴァイオリンや管弦楽など様々な編曲版が広く演奏されている。

まとめ

第149回は「希望の灯が再びともった回」だった。

泰輔が一家を背負って東京に赴いた姿も、復員兵の鼻歌がもたらした奇跡も、全てがチョッちゃんに「要は生きている」と信じさせた。戦後の不安と喪失の中でも、家族の絆と偶然の出会いが心をつなぐ。要さんが本当に戻ってくる日を、視聴者もまた一緒に待ちたくなる。

『チョッちゃん』感想まとめはこちら

懐かしい朝ドラをもう一度見たい方はこちら → NHKオンデマンドでは見られないけどTSUTAYA DISCASで楽しめる朝ドラ5選

タイトルとURLをコピーしました