朝ドラ再放送「チョッちゃん」第141回感想 “玉音放送の日”——戦争の終わりと新しい不安の始まり

朝ドラ

2025年9月24日放送 第141回


ざっくりあらすじ

  • 茨城も焼け出される。 疎開先の茨城も空襲で焼け、泰輔(前田吟)と富子(佐藤オリエ)は青森のチョッちゃん一家のもとへやってくる。

  • 落ち込む泰輔。 何もやる気がなくゴロゴロする泰輔を、富子は「しっかりおしよ!」と叱咤する。

  • 別の小屋を手配。 人数が増えたため、喜作(伊奈かっぺい)の協力で別の作業小屋を借りる話が進む。

  • 玉音放送。 産業組合に出勤した蝶子(古村比呂)は、正午に天皇陛下の放送を聞くよう指示される。それはポツダム宣言受諾を告げる玉音放送だった。

  • 終戦の知らせ。 戦争が終わったことに皆が喜ぶが、斉藤(左奈田恒夫)が「帰っても家はあるのか」「東京は進駐軍で大変」「帰ってもどうにもならない」と現実を突きつける。

  • 組合閉鎖。 三上(金井大)は「産業組合は閉鎖だ」と告げ、蝶子は仕事を失う。


今日のグッと来たセリフ&場面

# セリフ/場面 ワンポイント
1 富子「しっかりおしよ!」 弱り切った夫を叱咤する江戸っ子らしい気概。
2 富子「今がその“いざ”って時じゃないのかい?」 泰輔にかつての言葉を突きつける迫力。
3 泰輔「俺はもう立ち直れないよ」 2度の焼失で心が折れた男性の弱さが痛々しい。
4 玉音放送を聞く一同 何が語られているのか理解できず戸惑う姿がリアル。
5 蝶子「戦争が、終わったってことなのよ!」 負けを認めつつも“終戦”に希望を見出す強さ。
6 三上「産業組合は閉鎖だ」 喜びもつかの間、現実に引き戻される一言。

私が感じたポイント

  • 富子の強さ。 泰輔が「もうダメだ」と泣き崩れるたび、富子は背中を叩き「泣くんじゃないよ!」「しっかりおしよ!」と喝を入れる。どんな時も夫を見捨てず奮い立たせようとする姿は、江戸っ子らしい粋でかっこよさがあった。

  • 泰輔の弱さと現実。 千駄木の家を焼かれ、茨城の疎開先も失い、二度の喪失で心が完全に折れてしまった泰輔。野心家だった男が、全てを失った途端に無力化してしまう落差が胸に迫った。

  • 喜作の頼もしさ。 富子と泰輔のために「作業小屋だば、ここらなら、なんぼでもあるすけ」と言い、すぐに近所をあたってくれる喜作。「わかったわかった、何とでもなる」と頼もしく請け合う姿に、本当に心強さを感じた。人のために自然と動ける喜作の人柄が改めて光った場面だった。

  • 玉音放送の重み。 言葉の意味がすぐには理解できず、すすり泣く三上の姿でようやく「終戦」を実感する場面は印象的だった。歴史的瞬間が庶民の小さな部屋に流れ込んだリアルな描写だった。

  • 希望と現実の落差。 「お父さんも帰ってくる!」と笑顔を見せたチョッちゃんや子供たち。だが、斉藤の冷静な一言で浮かれた空気は一気に冷え込む。帰る家があるのかも分からない現実が突きつけられるのだった。

  • 仕事を失う蝶子。 戦争が終わった瞬間、蝶子の職場も閉鎖。戦争が終わっても、生活の不安は続くことを思い知らされる。まさに「一難去ってまた一難」。


用語解説

  • 玉音放送(ぎょくおんほうそう):1945年8月15日正午、昭和天皇の肉声で日本のポツダム宣言受諾が国民に伝えられたラジオ放送。国民にとって初めて聞く天皇の声だった。

  • ポツダム宣言:アメリカ・イギリス・中国(のちにソ連も参加)が日本に降伏を求めた宣言。受諾により第二次世界大戦が終結した。


まとめ

戦争は終わった。泰輔も笑顔を取り戻し、一瞬だけ未来を思い描けた。だが、東京の現状を聞かされ希望は揺らぎ、蝶子は仕事も失う。喜びと絶望が交錯するなかで、これから家族はどう生き抜いていくのか。たった15分で、戦争の「終わり」と「終わらない不安」が鮮やかに描かれた回だった。

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