2025年9月23日放送 第140回
ざっくりあらすじ
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歌の評判が広がる。 常子(栗田ひとみ)の結婚式での歌声がきっかけとなり、蝶子(古村比呂)は小学校で歌の指導を任されるようになった。宴会や結婚式の余興にも呼ばれ、お土産をもらうほど評判は上々。
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家族の喜び。 宴会帰りに持ち帰った大福やカマボコ、寒天を前に、加津子(藤重麻奈美)、俊継(服部賢悟)、みさ(由紀さおり)も大喜び。蝶子の歌が家族の食卓を豊かにしていく。
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結婚式での歌唱。 喜作(伊奈かっぺい)の従兄・松次郎(小野泰次郎)の娘の祝言で「花嫁人形」を歌い、ご祝儀を受け取った蝶子は「私は歌手になった!」と歓喜する。
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泰輔と富子の再登場。 しかしその直後、泰輔(前田吟)と富子(佐藤オリエ)が疲れ果てた姿で現れる。茨城の疎開先も空襲で焼け、身一つで青森に逃げてきたのだった。
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絶望する泰輔。 丸裸になった現実に打ちのめされ、布団の中で泣き続ける泰輔。みさは「男が弱音を吐いてどうするんさ」と叱咤し、現実に向き合わせようとする。
今日のグッと来たセリフ&場面
# | セリフ/場面 | ワンポイント |
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1 | 蝶子「いやいや、思えば遠い道のりだったわ」 | 17年越しの夢に到達した喜びの独白。 |
2 | みさ「これからも、どんどん歌ってね」 | 娘の歌声を心から誇りに思う母の一言。 |
3 | 喜作「祝言の席で、歌っこばな、歌ってほしい」 | 地域から求められる歌声になった証。 |
4 | 蝶子「要さん、私はついに歌手になったのよ!」 | 家族写真の前での報告シーンが胸を打つ。 |
5 | 泰輔「何もかもなくしちまったよ…」 | すべてを失った男の慟哭。 |
6 | みさ「大人の男はあんた一人だ!」 | 姉としての厳しくも愛ある叱咤。 |
私が感じたポイント
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お土産の一幕に滲むみさの優しさ。 大福やカマボコを前に迷い箸をしたみさは、結局子供たちが苦手そうな昆布巻きを選んだ。さりげない犠牲が“おばあちゃんの愛情”として伝わってくる場面だった。
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歌がもたらす豊かさ。 東京では空襲に怯え、歌う余裕などなかった。しかし青森の疎開先では歌がお土産やご祝儀につながり、家族に笑顔をもたらした。蝶子の歌は暮らしを支える力へと変わっていた。
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泰輔の絶望。 野心に燃えて東京に残ろうとした男が、二度の空襲で全てを失い、ついに生きる気力までなくしてしまった。大の大人が布団の中で泣きじゃくる姿は痛ましいが、戦争がもたらす現実の重さを突きつける場面だった。
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みさの強さ。 「男が弱音を吐いてどうするんさ」と泰輔を叱咤するみさ。これまで愛らしい天然さで描かれてきたが、ここでは姉として、家族を支える強さを見せた。キャラクターの奥行きが垣間見えるシーンだった。
- 伴侶を奮い立たせる強さ。 二度の空襲で打ちひしがれる泰輔に、富子は真正面からぶつかり続けた。涙に沈む夫をただ慰めるのではなく、「泣くんじゃないよ!」と喝を入れるその姿に、江戸っ子の女の潔さがにじむ。
独白セクション:「私はついに歌手になった!」
蝶子の喜びの独白は、視聴者に強い印象を残した。
「念願の歌手になれたってことなの。職業歌手になったみたいなもんなのよ!」
「音楽の道を志して17年。東和音楽学校に入った頃は、声楽家になって歌劇の舞台に立つ夢を抱いていた。ラジオから自分の歌声が流れることを夢見ていた。」
「けれど“お前には才能がない”と要さんに言われ、結婚の口実にされて音楽を諦めた。…それが13年の歳月を経て、やっと夢が叶った!」
このシーンは笑いと涙が交錯する。ナレーションは「そんな大げさなことではないような…まあいいか」と軽妙に締めたが、視聴者にとっては蝶子の“人生の再出発”を象徴する名場面となった。
まとめ
第140回は、蝶子の歌声が家族と地域を潤す「幸せの絶頂」と、泰輔の絶望によって戦時中の厳しさを思い知らされる「地獄」とを同時に描いた回だった。たった15分で天国と地獄を往復する濃密な内容は、まさに「チョッちゃん」らしい感情のジェットコースターだった。
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