朝ドラ再放送「チョッちゃん」第138回感想 “みさのお手製ごはん”と常子の笑顔——不器用さも愛おしい疎開の日々

朝ドラ

2025年9月20日放送 第138回


ざっくりあらすじ

  • 初出勤。 産業組合で働き始めた蝶子(古村比呂)。

  • みさの挑戦。 留守番のみさ(由紀さおり)は皿洗いに挑むが茶碗を割ってしまう。

  • 弁当忘れ。 蝶子は弁当を忘れただけでなく、母のみさの昼食も用意し忘れ、急いで戻ると喜作(伊奈かっぺい)宅で食事をしていた。

  • 夕食の分担。 蝶子は帰宅が遅くなるため、加津子(藤重麻奈美)に夕食作りを頼むことに。俊継(服部賢悟)も張り切るが、みさも手伝いたがる。

  • みさの初めての炊事。 野草の「ミズ」を採って味噌汁を作るが、葉と茎を逆に使い、米も固く炊き上がる。家族は苦笑いしつつ食卓を囲む。

  • 常子のお願い。 職場の常子(栗田ひとみ)が蝶子の服を羨み、洋裁を依頼。休日に仕立ててあげることにし、礼として米を受け取る。

  • 嘉市からの手紙。 「青森にとどまるのも仕方ないが、もしものときはすぐに来い」との嘉市からの言葉が届く。


今日のグッと来たセリフ&場面

# セリフ/場面 ワンポイント
1 ナレ「お母さん、洗ってみたらいいのに」 皿洗いに挑むみさを応援。
2 喜作「それで、わざわざ戻ってきたのすか?」 蝶子の慌てぶりとの対比。
3 喜作「ここで食べていきなせ!」 厚意が自然体すぎる一言。
4 俊継「おばあちゃん、今日茶碗割った」 子供の素直な“暴露”。
5 蝶子「母さん、だしは取ったの?」 料理の基本から始める。
6 常子「おらさも、そったの作ってけねべか?」 直球で頼む常子の人柄。
7 常子「米だば、なんぼあってもいいべ?」 実用的すぎるお礼の品。
8 ナレ「というような疎開生活です」 生活感に満ちた締め。

私が感じたポイント

  • みさの愛すべき不器用さ。 茶碗を割り、火を起こせず、野草も逆に調理してしまう。それでも一生懸命でかわいらしい。皿を持ち上げる仕草や、失敗しても屈託のない笑顔は、戦時下の重さを一瞬忘れさせる癒しになっていた。

  • 厚意に支えられる暮らし。 蝶子が弁当を忘れても、喜作夫婦は「ここで食べていきなせ」と自然に迎え入れる。遠慮よりも厚意が勝つ青森の人々の温かさが光った。

  • 役割分担と自立。 蝶子が仕事を得たことで、加津子と俊継が夕食を担うことに。子供たちのやる気と、みさの「私もやりたい」という気持ち。家族それぞれの立場を確認し合うやりとりは、共同生活の醍醐味を感じさせた。

  • “料理の基本”からの学び。 だしも知らず、米の水加減も分からないみさ。蝶子の「今度じっくり教えるから」という言葉には、苛立ちよりも優しさがにじんでいた。暮らしを共にするなかで一から覚えることができるのも、疎開の時間の意味かもしれない。

  • 常子という新しい風。 ストレートで人懐っこい性格、美人で裏表のない雰囲気。嫁入りを控えつつ、洋裁を頼み、礼に米を差し出す姿はたくましくも爽やか。彼女の存在が疎開生活を明るくしているのは間違いない。

  • 嘉市の渋い心遣い。 すぐに来いという言葉には、心配と愛情がにじむ。青森に留まる決断をした蝶子にとっても、嘉市の存在は後ろ盾であり続けているのだと思う。


用語メモ

  • ミズ(ウワバミソウ):山菜の一種。茎を食用にするが、葉は苦みが強い。劇中のみさは葉を味噌汁に入れてしまった。

  • 丙種(へいしゅ):戦時中の徴兵検査の区分。体格や健康状態により、甲種(現役兵)、乙種(補充兵)、丙種(不適格)などに分けられた。丙種は兵役に不向きとされた。


まとめ——不器用さも愛おしい疎開の日々

今日の十五分は、みさの不器用さが愛おしく映る回だった。茶碗を割っても、火を起こせなくても、家族に笑いと話題を提供する存在。蝶子が仕事を得て外に踏み出す一方で、家の中ではみさの一生懸命さが生活を彩っていた。疎開生活の中で、不自由や失敗すらも温かく受け止める家族の姿が描かれていた。

『チョッちゃん』感想まとめはこちら

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