2025年8月18日放送 第109回
ざっくりあらすじ
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加津子(椎野愛)のギプスが外れ、歩行リハビリ開始。まだおぼつかないが、みさ(由紀さおり)と蝶子(古村比呂)がマッサージと声かけで支える。
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みさは「役に立てたかい?」と不安顔。蝶子は「母さんのことは捨てたいくらい思い出がある」と返し、母娘で胸の内を確かめ合う。
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退院日。荷物運びの連平(春風亭小朝)と夢助(金原亭小駒)を前に、看護婦・増田たま(もたいまさこ)に連平が“口の悪さ”を謝罪。二人の空気が少し柔らぐ。
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洗足の家前では泰輔(前田吟)が今か今かと待機。松葉杖の加津子が帰宅し、音吉(片岡鶴太郎)ら近所衆も合流して退院祝いに。
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宴席で富子(佐藤オリエ)の一喝に、夢助が「お〜、こわっ」と食べ物の「おこわ」にかけたダジャレ。周囲は即理解、みさ&蝶子は置いてけぼりに。
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要(世良公則)は“10年断酒”をこの日だけ(?)解禁→そのまま爆睡。起き出して蝶子へ「本当によくやったね」と労いのひと言。みさは「近々、滝川へ戻る」と告げ、東京行きの収穫をかみしめる。
今日のグッと来たセリフ&場面
# | セリフ/場面 | ワンポイント |
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1 | みさ「わたし、役に立った?」→蝶子「うん」 | 看病の技より、思い出で抱きしめ直す会話。 |
2 | 蝶子「母さんのことは、あふれるくらいある…捨てたいくらいあるもね」 | 母の自己否定を、娘が記憶で肯定。名返歌。 |
3 | 連平→たま「この前は悪かった。今日で悪口の言い合いも終わりかと思うと、ちょっと寂しい」 | ケンカ相手が“距離の単位”だったと気づく一瞬。 |
4 | 音吉「まだ昼前ですよ。一分前でも昼前は昼前だ」 | 叔父と音吉の律儀な待機芸にニヤリ。 |
5 | 夢助「お〜、こわっ」⇔食べ物のおこわ | みさ&蝶子だけポカン、家族漫才の完成形。 |
6 | 松葉杖で「ただいま」 | 一歩ごとの恐る恐るが、家の空気で少し軽くなる。 |
7 | 要、10年ぶりの盃→爆睡→「本当によくやったね」 | 緊張がほどけた音。褒め言葉で看病編にピリオド。 |
私が感じたポイント
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“役に立つ”の再定義。 みさの自己評価の低さに対し、蝶子は“思い出という資産”で応答。介護・看病の現場で見落とされがちな情緒の補給が、どれだけ人を支えるかが伝わりました。
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椎野愛さんの“恐る恐る”の身体演技。 松葉杖に体重を預ける角度、足を出すまでの躊躇、家に入ってからの呼吸の変化まで細やか。退院=ゴールではなくスタートだと身体で語っていました。
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宴の力。 断酒を解く要、ダジャレで笑いが回る食卓。戦時下・長期治療の緊張から祝祭へ切り替える儀式としての一杯と一笑いは、心のリハビリそのもの。
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連平×たま、可燃性フラグ。 口の悪さの謝罪と“寂しい”の告白は照れ隠しのサイン。言葉の応酬が、互いの居場所をつくっていたのだと腑に落ちました。
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泰輔の“待つ力”。 家族の安全圏を広げる。誰かが玄関で待っていてくれることの安心を久々に思い出しました。
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母娘の記憶の継承。 看病できなかった悔い(みさ)を、育てられた記憶(蝶子)が上書きする。罪悪感の循環を止める対話が、次の世代(加津子)への優しさに繋がっていく。
まとめ――退院は“家族の再起動”
第109回は、医療の区切りを暮らしの始動へとつなぐ回。玄関の「ただいま」、食卓の笑い、父の一杯、母のひと言。小さな所作が次の生活を動かし始めました。ここからは在宅のリズムづくり——痛み・通院・学び・仕事・ご近所力を、もう一度編み直す番です。
あなたなら、退院初日に“再起動ボタン”として何を押しますか?