2025年8月15日放送 第107回
ざっくりあらすじ
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病室の付添いはみさ(由紀さおり)。加津子(椎野愛)は「退院してからもいて」と甘えつつ、俊道(佐藤慶)がすねると聞いて渋々納得。
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安乃(貝ますみ)に連れられ、頼介(杉本哲太)が13年ぶりにみさへ挨拶。海新楼の借金は石沢嘉市が肩代わりしていたと判明し、滝川への“帰れなさ”は誤解だったと知る。
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そこへ神谷(役所広司)。蝶子(古村比呂)は邦子(宮崎萬純)の結婚話を打ち明ける。神谷は相手が大川だと察し、「真剣に考えたらいい」と静かに受け止めるが——その直後、院内で倒れる。
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診断は栄養不良。病室ではなく宿直室の空きで経過観察に。看護婦の増田たま(もたいまさこ)が軽妙に仕切り、「運の強い人っているんですよねえ」。
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みさと蝶子は安乃を神谷の付き添いに指名。みさは「栄養のあるものを作って食べさせて」とお金も託す。
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邦子は大東キネマを辞める意向を示し、結婚の返事は「考えてるの。まだ…考えてるの」。
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目覚めた神谷は、眠り込んだ安乃の傍らで正座して食事。「女房にしても、ああは親身じゃねぇ」と宿直さん。神谷は蝶子たちに迷惑の詫びを入れ、安乃は送迎と食事ケアを続行。
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蝶子は要に報告——「ひょっとしたら、ひょっとするかもしれないわ」。
今日のグッと来たセリフ&場面
# | セリフ/場面 | ワンポイント |
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1 | みさ「退院するまでいるよ」→加津子「じゃ、退院してからも…」 | 孫の本音に、祖母の柔らかい現実対応。 |
2 | 神谷&みさの「いやいやいやいや」 | 北海道弁が一瞬で距離を縮める再会の音色。 |
3 | たま「(神谷は)いい年して、栄養不良」→「独身だから」→「私も…関係ないか」 | 重い診断を笑いで受け止めさせる、病棟の潤滑油。 |
4 | 宿直さん「女房にしても、ああは親身じゃねぇわな」 | 安乃の看病が“家族”の域に届いた証言。 |
5 | 邦子「考えてるの。まだ…考えてるの」 | 即答しない迷いは、誠実さの裏返し。 |
6 | 蝶子「ひょっとしたら、ひょっとするかも」 | 神谷×安乃に光が差した? 期待の予告編。 |
私が感じたポイント
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“付き添い”は愛の動詞。 みさの上京が場を温め、安乃の看病が神谷を現実に引き戻す。誰かのそばに座り、食べさせ、送る——その積み重ねが人間関係を動かしました。
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神谷先生の倒れ方がリアル。 日雇いと創作の二足でギリギリ立っていた背中が、ここで音を立てた。倒れた場所が病院という“運の強さ”までドラマに取り込む巧さ。
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安乃の献身=自己犠牲+段取り力。 ただ尽くすだけでなく、栄養・送迎・報連相のループを作る。看病を“仕組み”にする力が頼もしすぎる。
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頼介の硬さが、ふっとほどける瞬間。 垢抜けた安乃を褒められての緩み、石沢牧場・公次の近況での微笑。滝川の時間が彼の中で再び動き出した。
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邦ちゃんの「考えてる」は逃げではない。 仕事を降り、結婚を即決しない。戦時下における“自分の人生の設計”を、ちゃんと自分の手に戻そうとしていると感じました。
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蝶子の“縁結びセンサー”発動。 ここで急がないのが大人の距離感。看病→共働→信頼の順で育つなら、ひょっとして、の可能性は十分。
まとめ——世話が、縁を編む
第107回は、倒れる人と支える人、辞める人と考える人——行為が関係を編み直す回でした。付き添う・食べさせる・送る、その一手一手が次の物語へ橋をかける。次回、安乃の看病は“日常”として定着するのか。邦子の「考えてる」に答えは出るのか。そして神谷先生の体力と心は、どこへ帰還するのか。
あなたなら、誰かを支える最初の一歩に何を選びますか?