2025年8月14日放送 第106回
ざっくりあらすじ
-
看病疲れで二日間寝込んだ蝶子(古村比呂)が目を覚ますと、要(世良公則)が朝食を用意。「二度と無理はするな」と諭され、病院へ向かいます。
-
病室では富子(佐藤オリエ)と安乃(貝ますみ)が看病。富子は滝川のみさ(由紀さおり)からの電話に、思わず“蝶子ダウン”を報告。
-
滝川では、みさの上京をめぐり俊道(佐藤慶)と“うちわ論争”。みさは「体を拭いたり、うちわであおぐことならできる」と押し切ります。
-
神谷容(役所広司)は病室で新作の“キツネ童話”を朗読。そこへ安乃から「みさ上京」の手紙が届いたと報告が入ります。
-
看護婦詰所では連平(春風亭小朝)と夢助(金原亭小駒)が看護婦さんに調子よく話すも、増田たま(もたいまさこ)が秒で鎮圧。
-
みさ到着。段取り協議が紛糾するなか、連平が夢助に加津子の付き添いを押し付けます。
今日のグッと来たセリフ&場面
# | セリフ/場面 | ワンポイント |
---|---|---|
1 | 要「二度と無理はするな」 | 叱責でも同情でもなく、“休む許可”を与える言葉でした。 |
2 | 加津子(椎野愛)「本当に大丈夫?」 | 自分も病人なのに母を気づかう、幼い優しさが沁みます。 |
3 | みさ「体拭いたり、うちわであおいだりはできます」→俊道「うちわあおぎに東京行くんかい?」 | 夫婦漫才の奥に本気の心配。笑いで不安をほぐす名やり取り。 |
4 | 看護婦詰所で、たま(もたいまさこ)が連平を軽くいなす | 明るさと現場力。病棟の“背骨”の強さを感じました。 |
5 | 要「お母さんを家に連れて行ってもいいかな?」に、加津子「…いいよ」 | 子どもに“我慢の判断”を委ねた刹那。大人側の反省点です。 |
6 | 安乃「夢助さんの付き添いではかわいそう」 | みさとの13年ぶりの感動の再会の後でも加津子の不安を忘れない優しさ。 |
私が感じたポイント
-
みさの上京は“役に立つ”の定義を拡張します。 祈り・笑顔・うちわ――医療以外のケアが人を支えると実感しました。みさが病室に入った瞬間、空気がふっと軽くなりました。
-
要さん、今日は“適温の支え方”。 「二度と無理はするな」で蝶子に休む理由を与えたのが大きいです。短気の人ほど要所の正論が効きます。
-
俊道のツッコミ芸は愛の裏返し。 「うちわあおぎに東京行くんかい?」のパワーワードに笑いながら、結局は許す。理屈ではなく“家族の運用”がここにあります。
-
幼い配慮の健気さ。 要が「お母さんを家に連れて行っていいかな?」と聞いた時の加津子の「…いいよ」の間。子どもに“我慢の判断”を委ねない工夫、大人側にもっと必要だと思います。
-
安乃の自己犠牲は、善意の押し付けでなく“段取り力”。 13年ぶりのみさととの再会は感動的でしたが、加津子の付き添いを夢助一人に押し付ける大人たちの身勝手さには驚きました。それでも、みさの上京に浮かれる大人たちの中にあって、付き添いが夢助ではかわいそうだと加津子を心配してくれる常識的な大人(安乃)が一人でもいてくれたことに、ほっとしました。
-
連平の“ノリ”がハラスメントに傾く怖さ。 夢助への付き添い押し付けはモヤモヤしました。病人の前で役割をなすりつけない配慮は大人側の課題です。
-
現場の背骨=看護婦チーム。 たま(もたいまさこ)&里子(吉田やすこ)の明るさと力量が、患者も家族も支える。辛さのなかに笑いを差し込むバランスが絶妙でした。
まとめ
長期戦の看病に向け、家族・幼馴染・ご近所・医療者が輪を組み直した回でした。できる人ができることを差し出すだけで、絶望は少し“現実的な希望”に近づきます。次回、痛みと不安の波に岩崎家はどう配分して立ち向かうのでしょうか。
あなたなら、誰かが倒れたとき――“役に立てること”と“寄り添えること”、まずどちらから差し出しますか?