2025年8月13日放送 第105回
ざっくりあらすじ
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ギプス固定で身動きの取れない加津子〈椎野愛〉は“かゆみ地獄”に泣き顔。看護婦・増田たま〈もたいまさこ〉と横山里子〈吉田やすこ〉がケアに入り、言い間違えた「カンゴク」を優しく「カンゴフ」と直してくれます。
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富子〈佐藤オリエ〉は、看病続きの蝶子〈古村比呂〉を一度家に戻して風呂にと指示。蝶子は固辞するも、富子の“匂いジェスチャー”で陥落。
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洗足では泰輔〈前田吟〉・要〈世良公則〉・音吉〈片岡鶴太郎〉らが食卓を囲み、子ども2人は当面・野々村家で預かる案に着地。安乃〈貝ますみ〉は隔日で家事支援へ。
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病室の夜、蚊の羽音から要〈世良公則〉の『チゴイネルワイゼン』へクロスする音演出。神谷容〈役所広司〉が新作童話を語り、蝶子はいつしか舟を漕ぎます。
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演奏会を終えた要が病室へ。張り詰めていた糸が切れたのか、蝶子は看病疲れで倒れ、医師の指示で一旦帰宅に。
今日のグッと来たセリフ&場面
# | セリフ/場面 | ワンポイント |
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1 | 加津子「“カンゴク”さん、かゆいの…」→ たま「“カ・ン・ゴ・フ”。でも、いいけどね〜」 | 言い間違いを笑顔の学びに変える名対応。 |
2 | 富子、蝶子に“クンクン”仕草 | 「まず風呂!」の実務愛。倒れる前に休ませる賢さです。 |
3 | 泰輔「子どもはうちで預かる」/安乃「隔日で通います」 | 共同体の段取りがスッと決まる瞬間。 |
4 | 神谷先生の“キツネ童話”朗読→蝶子が眠り落ちる | 声の温度が鎮痛剤になる場面。 |
5 | 蚊の羽音→『チゴイネルワイゼン』へ | 病室の暑さと音楽家の世界が重なる名演出。 |
6 | 「あー、サッパリした!」(風呂上がりの蝶子) | 看病続きの緊張が一気にほぐれる解放の瞬間。体だけでなく心もリセットできた表情が印象的です。 |
私が感じたポイント
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“かゆみ”も治療の一部です。たま&里子が、「我慢=えらい」で押さず、言葉遊びで気を逸らしつつ寄り添う。子どもの自己効力感(泣かないもん)を傷つけないケアが見事でした。
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休ませる勇気。富子の“風呂プッシュ”は情ではなく段取りの愛。まず親を回復させる——長期戦の初手として正しいです。
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役割分担の更新。野々村家預かり+安乃の隔日支援+音吉夫妻のバックアップ。要が最後まで渋い顔なのは“子を取られる”不安と不器用さの表れで、人物描写としてリアルでした。
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音の演出が物語を押す。蚊の羽音と名曲の接続は、暑さ・苛立ち・芸の厳しさを同時に可視化。音楽ドラマたる“チョッちゃん”の真骨頂です。
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神谷先生=眠りの守護者。新作を惜しまず差し出し、声量を落として“シー”と合図。安乃の団扇も加わって、病室に小さな共同体が立ち上がりました。
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髪の乱れは限界のサイン。最後に蝶子が崩れたのは必然。ここからは「休む」と「頼る」を作法にする番だと感じます。
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安乃の自己犠牲が胸に刺さります。自分の蓄えまで差し出そうとしつつ、泊まり問題には配慮して“まず人のため”を徹底。団扇でそっと皆をあおぎ、気づかう細やかさに、滝川時代の恩返しを超えた家族の覚悟を感じます。
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安乃のその献身は“善意の押しつけ”ではなく、場の段取りを整える実務力を伴う優しさです。蝶子さんが倒れたら終わり――という現実を誰よりも理解して動いているのだと実感しました。
まとめ——“頼る”をはじめる日
第105回は、治療・家事・育児を一気に背負った家庭が、助け合いで再配列される回でした。蝶子が倒れたことで、ようやくみんなの段取りが本格始動。次回、入院生活の長丁場に向け、要の“父としての当番”と、共同体のリズムはうまく回り始めるのでしょうか。
あなたなら、誰に何を“頼る”ところから始めますか?