2025年8月11日放送(第20週・第96回)
◆ 本記事のポイント
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のぶ(今田美桜)の呼び方が「嵩」→「嵩さん」へ。夫婦としての距離感と“将来の先生”へのリスペクトがにじみます。
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薪鉄子(戸田恵子)事務所では、のぶが秘書続投宣言。一方で中山駒子(おしの沙羅)の“選挙ファースト”運用と火花が散ります。
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嵩(北村匠海)は新作『メイ犬BON』が土壇場ボツ――独立直後の洗礼を受けつつ、
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八木(妻夫木聡)の「こびずに描け」の一言と、“逆転しない正義”をめぐる薪鉄子との応酬が今週の思想軸に。
新婚の呼び方アップデート――“嵩さん”に込めた覚悟
結婚後、のぶ(今田美桜)が散髪中にふと呼んだのは「嵩」ではなく「嵩さん」。その変化に気づいた嵩(北村匠海)へ、のぶは「これから有名な漫画家の先生になるき、呼び捨ては失礼や」と笑います。夫婦の温度感と“職業人への敬意”が同居する、柔らかな関係性が伝わる場面でした。
私のひとこと感想:呼称は最短のラブレター。尊敬が一語で乗る「さん付け」、じんわり効きますね。
薪鉄子事務所で噴き出す価値観のズレ――のぶは秘書続投へ
のぶは、戦災孤児支援につながる児童福祉法改正の陳情をスケジュールにねじ込みます。ところが中山駒子は「先生にゆっくりうなぎを」と昼を空白運用。さらに、泣きの演技を「さすが」と持ち上げる選挙至上主義の温度差も露わに。薪鉄子(戸田恵子)は「言いたいことがあるなら言いなさい」とのぶを真正面から受け止め、のぶは「ここで働かせてください」=秘書続投を直訴。「探しゆうもんがある」――それはきっと“逆転しない正義”です。
私のひとこと感想:中山駒子は世良さん以上に冷徹な感じがするね。のぶはてっきり薪鉄子事務所をすぐ辞めるもんだと思っていたけど、「逆転しない正義」を探すために、石にかじりついてでも薪鉄子事務所に残りたいんだね。理想と現実の衝突は“離脱理由”にもなるけど、のぶは残って変える側を選んだ。ここが熱い。
『メイ犬BON』土壇場ボツ――独立初期の“あるある”を越えろ
掲載が見えていた『メイ犬BON』は、編集部の一本電話で無情のボツ。嵩(北村匠海)は肩を落とすも、仲間の励ましに少しずつ呼吸を取り戻します。独立直後は“決まってからの反転”がつきもの。ここをどう越えるかが作家の持久力です。
私のひとこと感想:ボツの痛みは“次の一枚”でしか癒えない。描いて、出して、また描く――それのみ!
八木の新拠点「九州コットンセンター」へ――“こびずに描け”の背中押し
愚痴をこぼしに立ち寄った店の雇われ店長は、なんと八木信之介(妻夫木聡)。子どもたちが裏の孤児院から手伝いに来る、あの人らしい拠点でした。八木は嵩に「大衆にこびず、お前らしいものを描け」と一直線の助言。そこへ買い物に来た薪鉄子(戸田恵子)と鉢合わせ――八木は「民じゃなく権力ばかり向いてるって言われてるぞ」と手厳しいひと言も忘れません。
私のひとこと感想:八木がいるだけで空気が澄む。叱咤も優しさも“現場の温度”から出てくるから刺さらないはずがない。
テーマ合流――“逆転しない正義”はどこにある?
薪鉄子はのぶ(今田美桜)が「探しゆうもん」を嵩に問います。嵩の答えは「何があっても逆転しない正義」。薪鉄子は「そんなもんどこに」と即応し、八木は「政治家はコロコロ正義を逆転させる」とチクリ。のぶが戦時の愛国教育に加担した負い目を抱え続けていることも共有され、三者三様の立ち位置がくっきりしました。
私のひとこと感想:八木が出てくるだけで妙な安心感を感じるのは自分だけ?八木はいつもそっと嵩の背中を押し、視聴者が薪鉄子に感じていたこともビシッと言ってくれる。何も恐れず、自分の信念だけで進んでいるような気がする。それにしても薪鉄子は選挙に勝つことだけを考えているのかと思いきや、頻繁に八木の店に現れては子供たちが作ったカードを買っていくという。目的はなんなのか…まさか八木に会いたいから!?思想戦がいよいよ立体化。“現場(八木)×政治(薪)×媒介(のぶ)”の三角形で、答えに近づいていきそうです。
🏃♀️#きょうのあんぱん🖌
八木が営む雑貨屋で、偶然会った嵩と鉄子。
鉄子は、嵩にのぶが探しているものは何かと尋ねます。
「それは、何があっても逆転しない正義だと思います。僕らは二人でそれを探しているんです」#北村匠海 #戸田恵子 #妻夫木聡#朝ドラあんぱん pic.twitter.com/z2MyieUoEf
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) August 11, 2025
まとめ――呼称の変化から思想の対立まで、“夫婦と社会”が同時に進む回
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のぶの「嵩さん」呼びは、愛情と敬意のミックスサインでした。
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のぶは秘書続投を選び、「逆転しない正義」を“現場から政策へ”つなぐ覚悟を明言しました。
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嵩は『メイ犬BON』ボツの痛みを味わいつつも、八木の一言で“自分の線”を信じ直しました。
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薪鉄子×八木×のぶの三者が同じテーブルに揃い、テーマは一気に核心へ。
次回注目ポイント
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嵩、『メイ犬BON』に代わる新作持ち込みは?
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のぶ、児童福祉法の陳情をどう具体化する?
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八木と薪鉄子――“現場と政治”の往還は成立するのか?
“見上げてごらん夜の星を”――今日も胸の奥に灯をともす15分でした。