2025年8月9日放送 第102回
ざっくりあらすじ
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滝川に帰省した蝶子〈古村比呂〉と道郎〈石田登星〉。加津子〈椎野愛〉は俊道〈佐藤慶〉と釣りへ出かけ、みさ〈由紀さおり〉は満州行きを控えた道郎を案じます。
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食卓では道郎が父の老いを気づかい、56歳と聞いて驚く一同。俊介は仙台で会社員と判明し、視聴者は胸をなで下ろします。
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川辺で加津子は熊や鮭の質問攻め。俊道はつい「鮭を串で刺して河原で焼いてたもね」と冗談を言い、すぐに白状して二人で大笑いします。
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夜は石沢嘉市〈レオナルド熊〉も交えて団らん。加津子の「3個釣れた」に蝶子が「3匹ね」と優しく訂正、“このおじちゃんならもっと釣れた”と俊道と石沢が火花を散らします。
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道郎はこれまでの親不孝(帝大医学部受験を装い小説家志望だった件など)を俊道に詫び、俊道は「母さんへだけは、まめに手紙を書け」と諭します。
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東京へ戻ったのち送別会。邦子〈宮崎萬純〉と道郎の間に微妙な空気が流れ、頼介〈杉本哲太〉は「満州で会えたら」とフラグを立てます。道郎は野々村夫妻と要〈世良公則〉に別れを告げ、静かに旅立ちの時を待ちます。
今日のグッと来たセリフ&場面
# | セリフ/場面 | ワンポイント |
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1 | 加津子「鮭は釣れる?」→俊道「今はいないんだわ」 | じい様と孫のやり取りが愛おしいです。 |
2 | 俊道「鮭を串に刺して河原で焼いてたもね」→「今のはウソだ」 | お茶目な“ウソ告白”で距離が一気に縮みます。 |
3 | 加津子「3個」→蝶子「3匹ね」 | 言葉の成長を優しく支える母の訂正が温かいです。 |
4 | 道郎、父へ謝罪/俊道「母さんへ手紙を欠かすな」 | 今生の別れを思わせる重さに胸が詰まります。 |
5 | 廊下での一言「お元気で」/「ありがとう」 | 道郎と邦子、言葉足らずのすれ違いが切ないです。 |
私が感じたポイント
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佐藤慶さんの背中で語る老いが見事でした。丸くなった肩から“時間”が滲み、56歳という数字の昭和感にもハッとさせられます。
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俊介が仙台で会社員と判明し、長らくのモヤモヤが解消しました。小さな一報が家族史をつなぎ直してくれますね。
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俊道の“熊バーベキュー”冗談からの即白状は、嘘も絆になる好例でした。可笑しさと優しさが同居しています。
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石沢「このおじちゃんとだったらもっと釣れたべなぁ」と“じい様対決”は安定のコント。北海道おじさんズの掛け合いは何度でも見たくなります。
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道郎の笑顔はやはり“作り笑い”に見えました。満州行きを失恋の逃避と読むか、職責としての覚悟と見るか。プライドの保ち方が痛いほど伝わります。
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廊下で交わした短い挨拶が、いちばん長い会話より雄弁でした。邦子も何か言いたげで、飲み込む表情が忘れられません。
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余談ですが、加津子はすでに“熊”と出会っていました。石沢嘉市を演じるのはレオナルド熊さん。メタ的にほほえんでしまいます。
まとめ――別れの前夜に、何を手渡すか
滝川での数日間は、嘘と本音、強がりと優しさが交差する時間でした。俊道の「手紙を欠かすな」は、みさへの安心の処方箋であり、家族をつなぐ最低限の約束でもあります。満州へ向かう道郎は何を抱えて旅立つのか。次回、いよいよ出発――残す言葉と受け取る言葉を、私たちも見届けたいです。
あなたなら、別れの前夜にどんな“ひと言”を残しますか?