2025年7月18日放送(第16週・第80回)
釜じぃの葬儀とヤムおんちゃんの遅すぎた再会
物語冒頭、かねて体調が危ぶまれていた釜じぃ(吉田鋼太郎)が息を引き取り、朝田家には深い悲しみが広がりました。その葬儀に遅れて現れたのが“ヤムおんちゃん”こと草吉(阿部サダヲ)。
🏃♀️#きょうのあんぱん🖌
釜次の葬式の日に草吉が朝田家にやってきました。
「……じいさん……」
「……ひでえじゃねえかよ……」#今田美桜 #江口のりこ #浅田美代子 #阿部サダヲ#朝ドラあんぱん 見逃し配信中📱https://t.co/vm5WT1WoHE pic.twitter.com/G3lELVnVkP
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) July 17, 2025
私のひとこと感想:ヤムおんちゃん、来るのが遅いよ…あと数日早ければ釜じいに会えたのに…。草吉の遅すぎた帰郷は、“間に合わなかった後悔”という人間の普遍的テーマを浮き彫りにしました。「会いたい人には会えるうちに会え」というメッセージが強烈に刺さります。
あんぱん再現作戦とチーム朝田家の抜群の連係
東京下町の象徴だった草吉のあんぱんをもう一度――。その願いを胸に、朝田家総出でヤムおんちゃんを足止めする一大作戦が決行されます。
私のひとこと感想:ヤムおんちゃんが帰ろうとするのを阻止する朝田家の動きはとても洗練されていて、予めどこかで訓練したんじゃないかと思えるほどだ。悲嘆に暮れるだけでなく、食卓を囲む喜びを取り戻そうと即座に動く家族の機動力に感動。悲しみと温かさが同居する演出は、あんぱんの真骨頂か。
石窯に頭を下げるヤムおんちゃん――職人魂と感謝の一礼
釜じぃが遺した石窯に向かい、深々と頭を下げるヤムおんちゃん。その無言の姿がすべてを語ります。
私のひとこと感想:ヤムおんちゃんが釜じいが作った石窯に頭を下げたシーンは泣けるね。旅を続けながらもいつかは釜じいのところに戻ってくるつもりだったんだろうね。ヤムおんちゃんの感謝の気持ちが一瞬で理解できるシーンだった。
東海林の冷徹な一喝――のぶは記者失格なのか?
場面は高知新報編集部へ。東海林明(津田健次郎)は若松のぶ(今田美桜)に「記者には向いていない」と断じ、同情一辺倒の記事姿勢を痛烈に批判します。
私のひとこと感想:東海林がのぶに対して厳しい言葉をかけたのは本心ではあると思うけど、のぶが薪鉄子先生の元へ行く決意を後押しするためだったと思いたい。ジャーナリズムの“客観性”と“当事者意識”はしばしば対立します。東海林はあえて冷徹な視点を示し、のぶに「自分の活躍できる場所」を選ばせようとしたのでは? と見ると、あの辛辣さにも納得がいきます。
次郎の手帳・薪鉄子・釜じぃ――三つの声がのぶを東京へ押し出す
のぶは深夜、亡き夫・次郎の手帳に記された速記メッセージを読み返します。そこに薪鉄子(戸田恵子)の理想と釜じぃの言葉が重なり、彼女の背中を強く押しました。
私のひとこと感想:次郎の速記メッセージも、釜じいの言葉も常にのぶを後押しする原動力になりそうだ。一人の女性を未来へ駆り立てる“過去の声”というモチーフ。戦後復興という時代背景の中で、過去を糧に前進する若者像が鮮やかに描かれています。
東京行きを宣言――嵩の胸中はいかに?
家族と柳井嵩(北村匠海)が集う中、のぶは「東京で薪鉄子先生の手伝いをする」と宣言します。
私のひとこと感想:のぶの東京行きの決意を聞いて嵩はどう思ったのだろうか。行ってほしくない気持ちと応援したい気持ちどっちが強いのか気になるところ。嵩の表情は複雑でした。恋慕・尊敬・仲間意識――複数の感情が同時にゆらぐ演技が秀逸。視聴者に“行かせたい/留めたい”を二重で味わわせる脚本の巧みさに脱帽です。
ヤムおんちゃん特製「あんぱんもどき」の味と釜じぃの遺言
不足する材料の中、ヤムおんちゃんが即興で焼き上げたのはトウモロコシ粉と芋あんのあんぱんもどき。
私のひとこと感想:トウモロコシの粉と芋のあんで焼いた「あんぱんもどき」がどんな味がするのか俺も食べてみたいぞ!釜じぃの遺影の前で家族と嵩がほおばるその味は、哀しみを優しく包む甘さだったに違いありません。材料不足という制約を逆手に取った“工夫の味”が戦後日本らしい。リアリティと郷愁を同時に刺激する小道具でした。
エンディング――「ほいたらね」で締めくくる釜じぃの存在感
すべてを見届けたかのように画面に浮かんだ釜じぃの「ほいたらね」。最期の言葉が余韻となり、第80回は幕を閉じました。
まとめ――“会えるうちに会う”と“走れるうちに走る”を胸に、次週を待つ
第80回は、別れ(釜じぃの死)と旅立ち(のぶ東京行き)が濃密に交差した15分でした。ヤムおんちゃんが頭を下げた石窯、東海林の冷徹な助言、次郎の手帳──すべてが「今、走れ」というメッセージに集約しています。筆者自身、身近な人との再会を後回しにしていないか、自分の“大志”から目を背けていないかを省みるきっかけとなりました。
来週はのぶと嵩に何か進展がありそうだし、八木の再登場とイベント目白押し。次回も “面白がって生きえ” の精神で視聴&レビューを続けます!