朝ドラ「あんぱん」第63回感想 焼け野原で交わした誓い――“逆転しない正義”を探すのぶと嵩

朝ドラ

2025年6月25日放送の第63回は、終戦間近の高知で4年ぶりに再会したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)が、互いの喪失を抱えながら“これから生きていく理由”を見つめ直す回でした。焼け跡に立つ二人の背中には、次郎(中島歩)と千尋(中沢元紀)の死が重くのしかかります。それでも前を向こうと交わした会話が胸を打った 15 分を振り返ります。

シーソーに刻まれた三人の思い出――千尋を思い出す嵩

子供の頃に嵩と千尋とのぶが遊んだシーソーを訪れた嵩。シーソーはあの頃のまま変わらずそこに存在していたけど、千尋の姿はもうここにはない。最後に千尋と交わした言葉がフラッシュバック。”ここに確かに三人の時間があった”。その証を胸に刻んで息をつく姿が、千尋への深い愛情と喪失の痛みを映していた。

焼け野原で4年ぶりの再会――形式ばった労いが突き刺さる――形式ばった労いが突き刺さる

空襲で焦土と化した通りで、のぶと嵩がようやく顔を合わせます。「無事にお帰りになったがですね。ご苦労さまでございました」――幼なじみ相手に敬語で労わねばならない終戦直後の空気が切なく、もっとフランクに声を掛けたいのに許されなかった“時代の壁”が二人の距離を一瞬凍らせました。

次郎の死、教師辞職――のぶの自責を優しく受け止める嵩

嵩は釜次(吉田鋼太郎)から次郎の死を聞かされ、のぶ自身から教師を辞めた理由を告げられます。「生きちょってえいがやろうか」と落ち込むのぶに、嵩は静かに「死んでいい命なんて一つもない」と釜次と同じ言葉で励ましました。一点だけを見つめ声には確かな強さが宿っていました。

“まやかしの正義”から“逆転しない正義”へ――嵩の変化

弟を失い、戦地で無数の理不尽を見た嵩は「正しい戦争なんて無い。まやかしの正義の中で大勢が死んだ」と吐露。そして「逆転しない正義、全ての人を喜ばせる正義を見つけたい。何年、何十年かかっても」と宣言。頼りなく見えた青年の目に、揺るがぬ信念が宿った瞬間でした。

焼け跡で交わした“生きろ”の祈り

瓦礫の上、のぶに向けた嵩のひと言は「生きてくれ」。のぶは涙を流し、静かに頷きました。「ほいたらね」と別れた二人。今後が気になります。

今日のハイライト

  • シーソー前で千尋のことを回顧。

  • 敬語の再会が残すぎこちなさと切なさ。

  • 「死んでいい命なんて一つもない」――命の尊さを貫く言葉。

  • 嵩が掲げた「逆転しない正義」への決意表明。

  • 焼け跡に響いた「生きてくれ」がもたらす希望。

まとめ――喪失から始まる“みんなを喜ばせる物語”

次郎を失ったのぶ、千尋を失った嵩。痛みを抱えた再会は苦いものになりましたが、二人は“逆転しない正義”を探すという同じ方向を見ました。焼け野原は出発点――ここから“みんなを喜ばせる物語”が再び動き出します。

 

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