朝ドラ「あんぱん」第58回感想 乾パンから殻付き卵へ――飢えと疑心の中で揺れる“正義の戦争”

朝ドラ

2025年6月18日放送の第58回は、補給路を断たれた駐屯地で極度の飢えと疑心に直面する嵩(北村匠海)たちの姿が描かれました。乾パンしか残らない食料、住民の卵をむさぼり食う兵士たち、そして正体不明のリン――“正義の戦争”という言葉が一層空しく響く15分を振り返ります。

乾パンをかみしめて朝田パンを思い出す

食料は乾パンのみとなり、嵩は一口ごとに故郷の甘い朝田パンを思い出す。脳裏に浮かぶのは“平和な味”と“粉塵混じりの乾パン”の落差。男たちが戦地へ行き、女性と子どもが町を支える現実が画面越しに重みを増しました。

飢えが理性を奪う――銃を向けた康太の暴走

肉体的・精神的に追い詰められた兵士たちは、空腹のあまり他人の家から食料を奪おうとする。「どうせ死ぬなら腹いっぱい食ってから」とつぶやく思考が、極限状態を物語る。康太が老婆に銃を突き付けた瞬間、嵩は“正義”が瓦解する音を聞いたに違いありません。

殻付きゆで卵をむさぼる衝撃

中国人の老婆が産み立ての卵をゆでて差し出すと、殻も剝かずにかぶりつく兵士たち。殻付きのまま食べることが当たり前だったのかどうかは分かりませんが、冷静だった嵩までも殻付き卵をかじった光景は、今日最大の衝撃。常識が消え去り、「とにかく腹に入れたい」という本能だけが残った瞬間でした。

リンの正体と岩男の過去——不穏な伏線

謎の少年リンと岩男の間に何があったのか。リンは敵か味方か。逃げたリンと遭遇した八木上等兵(妻夫木聡)の安全も気になるところ。伏線だらけのシーンが今日最大の緊張ポイントでした。

視聴者目線ハイライト

  • 乾パン→浅田パンを思い出す。

  • 「どうせ死ぬなら腹いっぱい食ってから」の台詞が現実味を帯びすぎて怖い。

  • リンを巡る謎と八木の安否が一気に不穏度アップ。

まとめ——正義の戦争はどこへ?

飢えは人を獣に変え、正義を問い直させる。乾パンしかない戦場で、どう生き延びるのか。リンの正体と岩男の運命が次回の焦点です。

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