朝ドラ再放送「チョッちゃん」第71回感想 トーキーの波・楽団の岐路・邦ちゃんの恋――揺れる時代、揺れる心

朝ドラ

2025年6月13日放送の第71回は、時代の変化が大きく押し寄せるなかで登場人物たちがそれぞれの“選択”を迫られる、見どころ満載の15分だった。満州事変の余波、映画界のトーキー化、楽団の分裂危機、そして邦ちゃん(宮崎萬純)の恋の噂。笑いと切なさが入り混じる回を振り返る。


連平さん(春風亭小朝)、最後の抵抗――無声映画楽士の誇り

トーキー化の波で仕事を失いかけた連平さんは、無声映画楽士仲間とともに“トーキー反対デモ”に参加。プラカードを掲げ、最後のプライドを燃やす姿には哀愁が漂う。変わりゆく技術に抗うのは無謀かもしれないが、“音で物語を彩る”という自負を簡単には手放せないという気概が感じられた。


要さん(世良公則)、ライフワークかライスワークか――楽団二択問題

要さんのオーケストラは解散目前。そんな彼の前に現れたのが、小海楽団と野口楽団からのダブルオファー。演奏の質を最優先する要さんにとって、本質は「どちらが良い演奏を追求できるか」だ。しかし今は一家の大黒柱。ライフワークを貫くのか、家族を守るためのライスワークを選ぶのか――要さんの葛藤がにじむ。

● チョッちゃん(古村比呂)の“包容力”が光る

「洋裁でも何でもして、要さん一人くらい面倒を見るわ」と笑って言い切るチョッちゃん。この一言に要さんはどれだけ救われるだろう。夫のプライドを守りながらも現実を見据えるチョッちゃんの強さと優しさが際立った。


邦ちゃんの恋の噂――ろくでもない男!? マスターの忠告

「泉」のマスターが、邦ちゃんの相手はロクでもないということをチョッちゃんに耳打ち。マスターの話を聞き邦ちゃんのことが心配になったチョッちゃん。疲れた表情の邦ちゃん、仕事の疲れと言う邦ちゃんだが、その瞳にはどこか影が……。チョッちゃんでは“玄関ばったり”が名物だが、帰り際、要さん&連平さんと鉢合わせるシーンは思わずニヤリ。

連平さんが「邦子さん、何か元気ないねぇ」とチョッちゃんに声を掛ける場面に、「神谷先生がダメなら連平さんが支えになってくれたら…」と私の妄想が止まらない。


要さんの“無職宣言”とチョッちゃんの揺るがぬ支え

要さんは小海・野口両楽団の誘いを最終的に断り、いったん無職になる道を選択したとチョッちゃんに報告。普通なら動揺してもおかしくない場面だが、チョッちゃんは「両方とも角が立つより、断って正解かも」と笑顔で受け止める。家計の不安をちらりとも見せず、「なるようになる」と前向きに寄り添うチョッちゃんの姿勢に、要さんは大きく救われたはずだ。


連平さん“ねじ込み作戦”と要さんの背中サイン

要さんの新しい職探しに、チョッちゃんは連平さんも一緒にねじ込もうと猛プッシュ。だが要さんは“連平さんの腕では難しい”と察し、言葉にできず背中を触るジェスチャーで必死に制止。このやり取りが今日イチのコメディポイント。


行方不明だった頼介(杉本哲太)が軍服姿で再登場!

ラスト、2年前に行方をくらませていた頼介(杉本哲太)が軍人姿で帰還。思わぬ再登場に「ここから一波乱ありそう…」と次回への引きがピリリと効いていた。


まとめ――「なるようになるさ」で前を向く

満州事変、トーキー、大恐慌――時代は荒波。しかしチョッちゃんの言う「なるようになるさ」は決して投げやりではなく、“最善を尽くした後は笑って進む”という覚悟の言葉のように感じる回だった。

 

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