2025年6月12日放送の第70回では、再び“家族”の関係に焦点が当たり、視聴者の胸に沁みる展開が続いた。頑なな父・俊道(佐藤慶)と、優しさと粘り強さで支える母・みさ(由紀さおり)、そしてその間に立つチョッちゃん(古村比呂)たち。言葉にできない思いが交差する、静かな余韻のある回だった。
素直に謝る邦ちゃんの姿
邦ちゃん(宮崎萬純)がチョッちゃんに素直に謝ったのは、とても印象的な場面だった。自分の感情を正直に伝え、ちゃんと謝れる邦ちゃんも、そしてそれを受け止めるチョッちゃんも偉い。
そんな邦ちゃんに対して、チョッちゃんは「支えになる人が必要なんじゃないか」と感じ、神谷先生(役所広司)ともう暮らせないのかと確認する。しかし邦ちゃんは「神谷先生とのことはもう過去のことにしたい」と口にする。完全に吹っ切れたようでいて、神谷先生の名前が出た時のあの微妙な表情は、何を意味していたのだろう。
北海道から上京した両親、それぞれの想い
チョッちゃんの父・俊道と母・みさが北海道から上京。甥の結婚式出席という表向きの理由はあるものの、母・みさは娘夫婦に会いたい気持ちを抱えていた。俊道は「蝶子には会わん」と頑なな態度を崩さず、まずは息子・道郎(石田登星)のもとを訪れる。
母は、その後弟の泰輔(前田吟)の家を訪ね、蝶子が世話になったことへの感謝を述べる。泰輔は「チョッちゃんに会ってあげたら」と背中を押すも、母は「お父さんが会わないのに私だけこっそりは行けない」と葛藤する。
それでも会いたい気持ちは確かにあった
夜、母は父に再度「蝶子に会ってあげて」と提案。父はやはり「会わん」と言うが、その言葉の裏に揺れる心がにじんで見える。母が「用事もないのにいつまでいるのか」と口にすると、父は「会いたいなら一人で行け」と背中を押すような言葉も残した。
母とチョッちゃんの再会、そして安心
翌日、母はチョッちゃんと再会。チョッちゃんが「お父さんは来てくれないの?」と聞くと、母は「本当は会いたいと思ってる。でも本人が『会わん』って言うんだから、きっと会わんのよ。でもその内、ゆっくり会える日も来るっしょ」と答えた。
要さん(世良公則)と仲良く暮らす様子を見て、母は安心し、北海道に帰る前に要さんのバイオリン演奏を聴かせてもらう。
父はそっとアパートの前まで来ていた
結局、俊道もチョッちゃんのアパートの前まで来たが、会うことはなかった。その背中には、会いたいのに会えない、頑固さの中にある父親の不器用な愛情が滲んでいた。
「ゆっくり会える日が来る」の願いが胸を打つ
要さんも、母も「ゆっくり会える日が来る」と口にするが、それはいつ来るのだろうか。本当に来るのか?
私は、過去に「いつでも会える」と思っていた人と会えないまま後悔したことがある。だからこそ、会いたい時に会ってほしい。時間は、思っているよりも残酷に過ぎていくものだ。
この回の最後に残る静かな余韻は、“今、会える時に会っておく”という大切さを改めて教えてくれた。