朝ドラ再放送「チョッちゃん」第69回感想 邦ちゃんの孤独と要さんの嫉妬、でも最後は笑顔で帰るふたり

朝ドラ

2025年6月11日放送の『チョッちゃん』第69回は、笑いあり、ケンカありの大忙しの回だった。チョッちゃん(古村比呂)の“家出”と、それにまつわる人間模様が描かれ、登場人物それぞれの感情がにじみ出るような展開が続いた。

ミシンを操るチョッちゃんに「カーネーション」を思い出す

冒頭からミシンを使って洋服を作るチョッちゃんの姿が映し出され、その職人のような手つきに思わず「カーネーションか?」と心の中でつぶやいてしまう。器用で行動的なチョッちゃんの魅力が一気に広がるシーンだった。

荒れる邦ちゃんの心の裏側にあるもの

連平さん(春風亭小朝)から、邦ちゃん(宮崎萬純)が最近荒れていると聞かされたチョッちゃんは心配になり、邦ちゃんのもとを訪れる。休んでいた邦ちゃんは、飲めない酒を飲んでいたことを明かす。チョッちゃんにつっかかりながら、「夢を捨てて結婚した」と責める言葉を投げるが、その裏には、ひとりで頑張ってきた邦ちゃんの“寂しさ”や“誰かに支えてほしい”という思いが滲んでいたように感じられる。

神谷先生と邦ちゃん、過去と現在の距離

そんな邦ちゃんを思い浮かべて、視聴者がつい期待してしまうのが神谷先生(役所広司)の存在だ。かつての教え子であり、一時期は同棲もしていた関係。神谷先生は「向こうから相談に来るならいいが、自分から行っては余計に傷つけてしまう」と語る。その距離感にやきもきするが、それだけに神谷先生の邦ちゃんへの理解の深さが伝わってきた。

要さんの嫉妬と子どものような駄々

一方その頃、チョッちゃんの帰りが遅くてイライラする要(世良公則)。帰宅したチョッちゃんに「俺のことは心配じゃなかったのか」と子どもみたいに駄々をこね、神谷先生のところへ行ったことまで気にする。その嫉妬心すら微笑ましく映るのは、要さんがチョッちゃんのことを心から大切に思っている証拠だろう。

初めての夫婦ゲンカと泰輔夫妻の巻き添え

ついにケンカがヒートアップし、チョッちゃんは家出して泰輔おじさんの家へ。そこで夫婦ゲンカの話を聞いていたはずが、なぜか泰輔夫妻までケンカになり、泰輔(前田吟)が家出しようとしたその瞬間、チョッちゃんを迎えに来た要さんと鉢合わせするという絶妙なタイミング!

「悪かった」と素直に謝る要さん、笑顔で帰るチョッちゃん

要さんはチョッちゃんに素直に謝り、チョッちゃんもすぐに許す。その潔さが夫婦の信頼関係の厚さを物語っている。最後に「おんぶしてやる」と言い出す要さんに、笑顔のチョッちゃんが甘えておんぶされながら帰宅するというラストは、温かさと微笑ましさが溢れていた。

この回は、邦ちゃんの孤独と、要さんの嫉妬、でも最後は優しさで締めくくられる、まさに“昭和の愛情劇”のようなエピソードだった。

 

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