朝ドラ「あんぱん」第51回感想 八木上等兵は本当に“味方”なのか?理不尽な暴力の中で揺れる嵩の心

朝ドラ

『あんぱん』第51回では、嵩(北村匠海)が本格的に軍隊生活へと足を踏み入れ、これまでの穏やかな日常とは一変した、過酷で理不尽な世界が描かれた。理不尽な暴力と厳しい規律に耐える嵩の姿は、見ている側にも重くのしかかるものがあった。

“殴らない”八木上等兵(妻夫木聡)の真意は?

嵩の世話係として現れた八木上等兵(妻夫木聡)は、馬場(板橋駿谷)らが怒鳴り、殴る中で、決して手を上げることなく、淡々と嵩に言葉を投げかける。その姿は一見“優しさ”にも見えるが、果たしてそれだけなのか。八木が本当に味方なのか、それとも他に何か意図があるのか、非常に気になる存在となっている。

詩集が破かれそうになった日、嵩の中で何かが崩れた

嵩が持ち込んでいた井伏鱒二の詩集を馬場が破ろうとするシーンは象徴的だった。この一瞬が、軍という場の非人間性と理不尽さを際立たせていた。

現代の私たちに問われる“耐える力”

あの時代の軍隊の理不尽な暴力や同調圧力に、現代の私たちがどれだけ耐えられるだろうか?嵩が「ここでやっていけるのか」と感じたのは、今を生きる私たちにとっても他人事ではない。嵩の困惑と戸惑いは、多くの視聴者の心にも重なる感覚を呼び起こしたはずだ。

動物とのふれあいがもたらす束の間の癒し

厳しい訓練にさらされる中で、嵩が馬の世話をする場面が印象的だった。軍という過酷な環境の中であっても、動物と触れ合う時間にはどこか穏やかな空気が流れ、心が少しだけほぐれる瞬間があったように思える。嵩が馬に向けた優しい眼差しには、彼本来の人間性が垣間見えた。

これから嵩は“どう生きるか”を問われる

家族やのぶ(今田美桜)に見送られて軍に入った嵩が、ここでどう耐え、どう変わっていくのか。八木上等兵との関係も含めて、“生きる”とは何かを考えさせられる展開が始まっている。物語の行方を見守らずにはいられない。

この第51回は、『あんぱん』という作品が戦争と個人をどう描くか、その核心に一歩近づいたような重厚な回だった。

 

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