朝ドラ再放送「チョッちゃん」第66回感想 縁側の会話に滲んだ親の切なさと、神谷先生が代弁した視聴者の疑問

朝ドラ

『チョッちゃん』第66回は、蝶子(古村比呂)の夢と家族の思い、そして親としての期待と葛藤がにじみ出た回だった。音楽学校を卒業し、要(世良公則)との結婚準備が進む中、家族それぞれが心の整理をしようとしている様子が丁寧に描かれていた。

神谷先生(役所広司)が代弁した視聴者の疑問

今日一番「それが聞きたかった!」と思ったのは、神谷先生(役所広司)が要に向けて問うたひと言だった。「チョッちゃんに音楽の才能がないと言ったのは、結婚させたかったからじゃないか?」という鋭い問い。視聴者がずっと感じていたモヤモヤを、まるで代弁するかのような場面だった。要は否定したものの、彼の中の複雑な感情や思惑がにじみ出た瞬間だった。

縁側で語られた、親の本音に泣かされた

もう一つ、心に深く残ったのは縁側での俊道(佐藤慶)とみさ(由紀さおり)の会話。チョッちゃんからの手紙を読んだみさが静かに涙し、俊道が落ち着いた口調で語り出す。「親っていうんは・・・こんなもんかい?」「夢ば、ひとつひとつ潰していくしかないんかい?」という俊道の言葉は、ただの嘆きではなく、親としての無念や寂しさが滲んでいた。

昭和初期の“親の期待”と“子の自由”の狭間で

今の時代なら「好きなことをやらせたい」「自分で選んだ道を応援したい」と考える親が多いかもしれない。しかしこの時代では、親の希望に沿った人生を歩むことが“当たり前”だった。俊道の思い描いた未来——息子に医院を継がせ、娘には然るべき相手に嫁いでもらう——それが叶わなかった現実を前にした言葉には、時代を超えて共感できる親心があった。

卒業と結婚、人生の節目を迎える蝶子

蝶子は無事に音楽学校を卒業したが、予定されていた5月21日の結婚式は、要(世良公則)の演奏旅行と重なってしまい、中止となった。代わりにいつものメンバーでささやかな宴が開かれたが、そこにも父・俊道(佐藤慶)と母・みさ(由紀さおり)の姿はなかった。家族の距離感が残る中、それでも蝶子の門出を祝おうとする周囲の温かさが印象的だった。

親の夢と現実、その狭間で揺れた心の叫び

「夢ば、ひとつひとつ潰していくしかないんかい?」——この言葉には、理想と現実のはざまで揺れ動く親心がにじんでいた。夢を託し、期待しながらも、それが叶わぬ現実にただ静かに向き合う姿が胸に残った。『チョッちゃん』の中でも特に親子の心の距離が描かれた回として、忘れがたい一日になった。

 

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